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PM-1赤道儀 [天文]

タカハシのPM-1赤道儀は海外移動時の小型赤道儀として開発されました、日食撮影や南半球での天体写真用です。一眼レフカメラの撮影だけであればコンパクトで安価なポータブル赤道儀は色々と販売されています、300mm以下の望遠レンズでの撮影や小型望遠鏡での観望も可能で汎用性が高いです。

以前使用していたP-2赤道儀でハワイの皆既日食ツアー用にFC三脚を追加購入しました、現在はPM-1赤道儀でそのまま機材が使用出来るメリットがあります。PM-1赤道儀の購入は2018年05月でしたが、昨年販売中止となりました。デジタル一眼レフになってから高感度での短時間露出での撮影が可能となったのでこの大きさはデメリットでしょう。

(利点)
PM-1赤道儀はPM-SP赤道儀としてポータブル赤道儀して販売もされていました。簡単にセットして手軽に観望出来るメリットは大きいです。また各部が六角レンチで固定されていて分解可能です。プラネットフォーク、フォーク経緯台、全方位経緯台、多連カメラ等と多様化出来る特長も持っています。強度には特に問題となることはありませんでした。

(欠点)
オートガイドや自動導入が出来ません、赤緯軸の駆動は手動で長さが短いこと。最大の欠点は価格です、本体のみ(三脚別)で約21万円と高価です。モータードライブのバッテリー電圧低下の警告ランプが出ないこと。大きいのでザックには入りません、車移動となってしまいます。

1)赤道儀設置
撮影や観望を開始する前に撮影機材を含めて全部セットします、赤道儀には水準器が有りますので水準器で水平を出します。地面がアスファルトで無い場合は赤道儀の重さで少し水平がズレることも有りますので注意してください。外気温に慣らすために30分程度放置してから、極軸合わせとピント出し作業を行います。結露防止や低温でのレンズ曇り防止用のレンズヒーター使用時も30分以上前にセットしておいてください。赤経と赤緯のバランスはクランプを緩めて手を離しても回転が止まる程度に、しっかりとバランスを取ってください。

2)極軸合わせ
極軸合わせ用のリングレベルで水平出しを行ってその時の北極星位置を指定の極軸パターン内に合わせます。極軸望遠鏡でしっかりと極軸合わせをする必要があります、これはとても重要です。極軸望遠鏡は9倍なので赤経と赤緯(上下と左右)の微調整が出来無いと実力が発揮出来ません。

私はケンコーのスカイメモ用のスマホアプリ(フリー)で北極星位置を合わせています、現在の時刻では極軸パターンの08h06m付近に北極星が輝いています。インナーハーフクラッチを少し緩めて水平出しの為に2本の赤線内に気泡を入れます。広角レンズで60秒程度の露出時間で有れば、赤道儀が北を向いているだけで十分撮影は可能です。(初心者向けの極軸合わせの解説は省略しております。)

3)ピント合わせ
最近では望遠鏡先端に被せてピント出しの精度が良い、バーティノフマスクがあります。デジタル一眼レフの写真用で有れば私はカメラのライブビューモードで拡大して合わせます。拡大すると軸上色収差の影響で青色や赤色が見えますがちょうど色が消える付近で合わせてテープでフォーカスリングを固定します。

4)追尾チェック
フィルム時代では最低でも20分程度の露出時間が必要でしたが、デジタルカメラでは30秒露出で十分となりました。ハーフクラッチをしっかり締めないとガイドミスの原因になりますので、しっかりと締めます。以前はガイド望遠鏡を赤道儀に同架させて追尾チェックが必要でしたが、デジタルカメラでは2分程度撮影して星が止まっているかチェックするだけで十分です。星像が悪いと時々ガイドミスと混乱しますので、単焦点レンズがお勧めです。

5)撮影
絞りは開放では無く1段程度絞り込むと周辺部でもコマフレアの影響も少なくシャープに写ります。カメラセットではミラーアップにて、高感度のノイズリダクションは自動にします。ワイドレンジで有れば赤道儀での追尾は不要と思われますが、固定撮影とは違って同じ露出時間でも星像はシャープで暗い星までしっかりと写ります。最近はケンコーから発売されたスターリーナイト(光害カットフィルター)を使用することで星空での色再現が良くなりました。

6)露出時間
デジタル一眼レフになってからは撮影結果は直ぐに確認出来るようになりました。再生画面は真暗な夜間では明るめに見えてしまいます。その為にヒストグラムに切り替えて露出オーバーかアンダーなのかチェックします。最近の天体写真は1分X5枚合成などのコンポジット撮影が主流ですが私は1枚撮影のJPEG撮影です、一応RAWデータでも保存しています。

7)モータードライブ
PM-1赤道儀のモータードライブは単三電池四個で駆動します、PM-Dと赤道儀はケーブルで繋ぎます、連続で約15時間程度使用出来ます。困ったことにバッテリー電圧低下の警告ランプが無く、パイロットランプが点灯していても、追尾が遅れるとバッテリー交換時期となってしまいます。スターベース東京を訪ねて、約2年経って今回初めてバッテリー交換時期を迎えて知りました。

8)IR改造カメラ
天体写真専用としてHα線(656.3nm)の透過率をアップして赤味の強い星雲が撮影可能なカメラが発売されています。キヤノンのEOS RaやニコンのD810Aが有名ですが、一般撮影では色再現性が悪く兼用出来ません。このようなカメラで撮影すると肉眼で見た天の川やオリオン座もとても良く写りますが、不自然な夜空になってしまいますので私は使用していません。

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前橋至誠堂マッチプレート使用
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FC-50使用時(追尾テスト)
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極軸望遠鏡内蔵(9倍)
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リングレベル(極軸調整時)
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極軸パターン(外側は南半球用)
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コントローラー接続
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インナーハーフクラッチ
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PM-D(モータードライブ)と電池ボックス
2020年04月18日 自宅にて
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てばまる

この説明で分かる人は尾瀬仲間では私くらいでしょうか(^_^;)

タカハシの簡易赤道儀だとスカイパトロールやスカイキャンサーがありましたね。私はスカイキャンサーを持ってます。まだ使えなくはないですが、コントローラーが壊れてしまったので自動は無理です。あと歯車のところが剥き出しなので取り扱いに苦慮します。小型なのでザックに入りますがそれでも重いです。
by てばまる (2020-04-20 15:51) 

pulsar

てばまるさん、PM-1赤道儀ユーザー向けのメモとして書いています。
私も以前スカイキャンサーを持っていましたが、星仲間に譲りました。

やはり最近のポラリエやスカイメモがコンパクトで良いでしょう、私はPM-1赤道儀は望遠鏡での観望用にも考えています。
by pulsar (2020-04-20 19:18) 

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